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Writer's pictureHayato Shimabukuro

ジョブインタビュー体験記


今回、初めてジョブインタビューに呼ばれたので、備忘録ならびに誰かの参考になればと思い、つらつらとまとめる。

ジョブインタビューとは、(主に海外の)大学や研究所などのアカデミア(その他の分野でも?)で、テニュアトラック職やテニュア職採用の際に実施されるファカルティ―、学生たちとの面談のことである。書類審査を通過すると、通常は数日から1週間近くインタビューに呼ばれた機関に滞在する。私の場合、滞在中にコロキウムをしたり、各教員達との面談、学生たちとのランチがあった。

私が今回呼ばれた大学は2019年3月末〆切の公募で、応募書類はCV、研究計画書、教育プラン、論文リスト、推薦書3通だった。書類審査を通過し、インタビューの通知が来たのは5月上旬のことである。

初めてのジョブインタビューということで、まずは情報収集から始めた。SNSで親交のある既に海外でテニュア職あるいはテニュアトラック職に就いている先輩方に連絡を取り、アドバイスを頂いた。

たくさんのアドバイスを頂いたので全部を紹介することはできないが、アドバイスを頂いた方々が共通してくれたのは、

「今後、その大学で働くにあたりどういうビジョンを持っているのか?を考える」

「5年、10年単位での研究計画を考える」

「既存ファカルティの研究分野との相補性と独自性」

であった。ポスドクとは異なり、大学教員になろうとしているわけなので、研究だけではなく組織の一員として、その組織をどのように運営していくのかという視点が重要とのことだった。

また、各教員とのインタビューが行われるため(私の場合、一人1時間×9名)、それぞれの教員がどの様な研究をしているのか調べ、可能ならばどういうコラボレーションができそうかを考えた。また、scientificな質問だけではなく、ティーチングや日常生活についての質問もたくさん考えた(例えば、住まいや保険などの生活環境についてなど)。

インタビューのための準備と並行して、コロキウムのスライド作成も行った。1時間のトーク時間なのだが、「最初の15分は小学生にでも分かるような基本的な話にする」というアドバイスを頂いたので、そこを意識した。また、最後の数枚のスライドは今後のプランについて述べた。

コロキウムで躓いたら、そもそも話にならないので何度も練習をした。1週間毎日、夜な夜な清華大学のセミナー室を借りて、誰も観衆がいない中で練習を行った。話すスピード、抑揚、視線を意識した練習を行ったが、最初のうちは驚くほど下手くそで、言葉に詰まったりした。観衆無しでこれなので、観衆がいたらもっと緊張するのは必至である。しかし、3日目の練習を終えた辺りから、言葉に詰まることもなく、また、カンニングペーパーに頼る事もなくなった。ジョブトークに限らず、コロキウムのための練習の重要性を認識した。練習最終日にはグループのみんなにも聞いてもらった。また、インタビューの前の一週間は上海での会議に招待されていたので、そこでの発表は良い事前練習になった。

以上が、ジョブインタビュー前の準備の話である。ここからは、ジョブインタビュー期間中の話をする。

まず、6月2日(日)に現地に着いた。ホテルや航空券は先方が用意していてくださり、空港に着いたら送迎のタクシーも手配されていた。ちなみにホテルは5つ星である。

6月3日に大学に挨拶に。この日は特に何もスケジュールされていなかったのだが、ディレクターや他の教員と昼飯や夕飯を食べた。ちなみにミールカードが用意されていたので、ここでも出費は無し。

6月4日に教員一人とジョブインタビューの後、コロキウム。自分の中では博士論文公聴会並に緊張したが練習の甲斐もあり、多分、これまでのトークで一番の出来だった。練習でも意識した話すスピードや抑揚、視線の配り方に加え、何よりも楽しんで話すことを心がけた結果、オーディエンスはニコニコ話を聞いており、質問もたくさん出た。ちなみに、50分くらい話して、30分位質疑応答をした。めちゃくちゃきつかった。

6月5日、6日は一日中、教員たちによるインタビュー。当初は一人一時間も話せるのか?と不安でいっぱいだったが、コロキウムの内容に関連した質問や宇宙論や再電離、21cm線、機械学習の基本的な質問を受け、こちらからは教員の研究内容、大学の様子、学生について質問+雑談をしたら1時間はあっという間だった。インタビューのために色々と準備をしてきたが、正直、思っていたよりも緊張することなく、むしろ楽しく会話をしたという感じだった。

また、学生やポスドク達とのランチもあり、そこでは主に機械学習に関連した質問を相次いで受けた。こちらからは、日常生活について尋ねたりした。ジョークを挟みながら会話をしたので、思った以上に笑いを取ることが出来た。

6日の最後には、ディレクターとの面談があったが、こればかりは死ぬほど緊張した。ここではまさに、アドバイスに頂いた「今後、その大学で働くにあたりどういうビジョンを持っているのか?を考える」について質問をされた後、「何か聞きたいことはあるか?」と、私の方から質問するターンだった。こればかりは事前に準備しておかないとどうにもならないので、大学について、日常生活についての質問を予め準備しておく必要がある。

こんな感じで、私のジョブトーク+ジョブインタビューのプロセスは終わったのだが、感想を一言で表すと、「毎日が緊張」である。例えば、ランチやディナーを毎日、ディレクターを含む教員たちと食べるのはものすごくプレッシャーであった。私は学位取得後、海外に出て既に3年経過したが、それでも英語に自信が無いので、緊張感の下でずっと英語にさらされるのは本当にしんどかった。

しかし、今回、ジョブトーク+インタビューに臨むに辺り色々準備したこと、また、一週間近い滞在を通して、確実に成長することができたし、経験値を積むことが出来たというのは実感している。願わくば、オファーを頂きたいが、仮にオファーをもらえなかったとしても、今回の経験は絶対に次に活かされるものだと信じている。

*私が頂いた他のアドバイスや、より具体的な様子等に興味のある方は当ウェブの連絡フォームやTwitter等でコメントをください。


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